車内放送

【放送テープ】東急バス 綱島駅→新羽営業所庚申堀

今回は東急バスについてのお話です。
このテープの特徴は、

今も変わらぬ声優さん、当時の貴重な音源!

そう、音声合成化された今でも変わらぬ声で今や東急電鉄の顔でもある存在の声優さんです。

巨大バス事業グループとなった東急

東京急行電鉄は1922年に目黒蒲田電鉄として設立、バス事業を開始したのは1929年のことでした。

最初の開通は大井町線。その後小山、自由が丘、等々力、下丸子など路線を広げ1933年に子会社である目蒲乗合を設立してバス事業を譲渡して分社しました(すぐに本体に事業が戻された)。

その後も様々な会社の傘下にあったり吸収合併したりと徐々に勢力を大きくしていき1939年に目黒蒲田電鉄は東京横浜電鉄を合併して東京横浜電鉄に商号を変更します。

陸上交通事業調整法によって他に関東乗合、東都乗合、神奈川中央乗合、箱根登山鉄道、静岡鉄道という関東に加えて静岡県にまで及ぶ巨大バス事業グループが完成したのです。これを俗に「大東急」と言います。

戦後1946年に東都乗合が国際商事(現 国際興業)によって売却されて東急グループを離脱したのをはじめに売却、会社分離などが相次ぎ大東急は解体されることになります。

東急バスの発足

現在の東急バスが設立されたのは1991年と割と最近のお話で、企業としての自立、経営の安定を確立するために100%完全子会社として設立されました。

また、運転手の人件費削減をねらいに1998年にはさらなる分離子会社東急トランセを設立し、代官山地区での運行をはじめに東急バス路線の委託運行も開始しました。

2005年には携帯電話からも閲覧可能な位置情報サービス「東急バスナビ」のサービスを開始し、時代の最先端を行く元マンモス会社の力は今も火を灯し続けています。

東急コーチは子会社?

さて、東急コーチの文言を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。こちらも子会社のように聞こえますがこちらについては全くの別物。

コーチ(coach)はイギリス語で長時間・長距離移動に適したより快適な設備をもつものを意味し、英語ではこういった設備がある車両をバスに限らずそう呼ぶそうです。

1975年にコーチ自由が丘線が路線として新設されたのが始まりで、一般路線とは運行形態が異なるデマンドバスとして運行されました。こういった路線を東急コーチと呼びます。

現在は一般路線化されてデマンド形式は一部を除き廃止されています。

詳しくはまた東急コーチにまつわるテープについて紹介するときにでもお話しできたらと思います。

営業所への出入庫系統[綱79]

今回の路線は現在の綱79系統です。

新羽営業所の出入庫路線として綱島駅から新羽営業所間を行き、綱71(~勝田折返所)、綱72(~新横浜駅)、綱73(~新羽駅)の区間系統に値します。

ちなみに放送で系統番号を言わないのは当時番号が無かったためで、2001年に付番されました。

一つ不可解な点は行き先が「新羽営業所庚申堀」であること。新羽営業所と新羽営業所庚申堀の2つの停留所が存在しますが営業所より離れた道路の方の庚申堀停留所が終点となっています。

特に営業所が移転したようなお話も無いので、もしかしたらどこかへそのまま回送させていたことも考えられそうです。

貝塚停留所付近。放送でも注意喚起があるように道路が大きくカーブしている。

 

東急=オリジナルの声優さん

さて、東急バスといえばエンドレスエコー制作ですが、声優さんはここでしか聞けない西村さんというお方。

現在では馴染みが深くなってきた、東急の電車はもちろん小田急や京王、JR西日本の特急列車など幅広い場所で現在も活躍中です。

何といっても音声合成化後も声優が変わっていない点、すごいですね。音声合成では音質が劣ってしまい、営業所や系統によっては別人にも聞こえます。

はじめは東急でしか聞けなかった声優さんでしたが、先ほど上記で挙げた通り現在では幅広い放送分野で活躍をとげるまでになりました。

テープの形式は8トラ等速。路線によっては1チャンネルで往復収録されていたり、2チャンネルに分けて往復録音されていたりします。また、バス停の接近装置によるものなのか制作年による信号音の違いにも注目です。

 

それでは肉声の良さもひしひしと伝わる西村さんの放送をお楽しみください。